好きなことをだらだら書くブログ
最近東方の事しか書いてない

Twitter

 

読書感想 宇佐美りん『かか』

 

かか

かか

 

 ……うーちゃんはにくいのです。ととみたいな男も、そいを受け入れてしまう女も、あかぼうもにくいんです。そいして自分がにくいんでした。自分が女であり孕まされて産むことを決めつけられるこの得体の知れん性別であることが、いっとうがまんならなかった。男のことで一喜一憂したり泣き叫んだりするような女にはなりたくない。誰かのお嫁にも、かかにもなりたない。女に生まれついたこのくやしさが、かなしみが、おまいにはわからんのよ

 

 離婚し心を病んでしまった母(かか)と娘(うーちゃん)を描いた話。

物語はうーちゃん視点で描かれて、なおかつ引用した文章みたいな独特な言葉遣いでずっと続く。この言葉の使い方がセンスあって面白い。

うーちゃんは病んでしまったかかに対する憎悪もあれば、愛情もあるし、女性に生まれた自分を嫌悪しているし、SNSで不幸自慢を見たら自分も虚言してでも同じように構ってもらおうともする。

文章が子供っぽく感じる言葉遣いや、かかを決定的に憎みきれないところや、ところどころに感じられる自意識過剰さはまさに10代っぽい子の感性だと思うよね。

 

短い本なので1つの1つの出来事はすぐに終わってしまうけども、そのどれもうーちゃんは今どきの子なんだなぁ、という感じに思ってくる本。