春画展レポートもどき その1 肉筆画編。
永青文庫の春画展行ってきましたよ。でもレポートもどき、としているのは人多すぎてろくに見られてないから…ライブその他のイベントで人多いのは気にしないけども展示会であそこまで人が多いのはどうしたって耐えられないよね……。これから行こうとしている人は営業時間外に忍び込むか、あそこで働く人になる以外に落ち着いてゆっくり見る方法はないという事を覚悟して行った方がいいと思います。
あと、出品に前期、後期があるのを初めて知った…よく調べてから行きましょう。
http://www.eiseibunko.com/shunga/images/worklist.pdf
まぁ、図録にも書いてあるし報道もされてると思うけども数多の会場に断れらた末での永青文庫での展示(つまり他の大きいところは展示する度胸がなかった)、だからあの会場の狭さその他そのものについて文句を言うべきじゃないと思う。ここは元総理大臣が館長やっている場所だから絶対裏で抗議するような団体と政治的なやり取りをしたと思うけどもどこもそこらへんは深く突っ込まないのかな…。永青文庫は小規模な美術館にもかかわらずかなりのメディアに報道されてたのも絶対政治力が働いていたと思うんだけどなぁ…だからどうというわけでもないけど。
あと、あまり言及されてない気がするけども春画展は来年に京都の細見美術館にも巡回する予定なので、関西圏とか人はそれに行った方がいいと思います。
とりあえず目的の図録は買えたので、この記事ではそれを参考に”展示されているもの”についてまとめていこうと思います。写真についてはマスコミ記事なら公開されてるけども、個人撮影は当然のごとく不可だったのでないよ。
あ、あそこで売っていた蛸と海女トランクスやエコバッグの類はコミケのそういう人たちが集まるスペースで売れば結構売れると思いました(偏見)。春画展図録のページ順に沿って紹介していくので思い返してまた見たいと思ったりした時はどうぞ。ネットで見られるのもあるしね。長くなりそうなので図録の章ごとに記事を分けます。まずは肉筆画編。
・小柴垣草紙絵巻
- 作者: リチャードレイン,林美一,河出出版研究所,Richard Lane
- 出版社/メーカー: 河出書房新社
- 発売日: 1997/08
- メディア: 大型本
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これはネットで見られるところはないっぽい。ただ春画の中では有名なやつらしく本がいくつもあるみたい。済子女王と平致光の室内での情事を描いた絵巻物。女性器を舐めているところまで丁寧に描かれている。図録には鎌倉時代のと江戸時代のがあるし、いつの時代も何も変わってないんだなぁって…。
・稚児之草紙
British Museum - Chigo no sōshi 稚児之草紙 (Book of Acolytes)
これは大英博物館のサイトで一部が見られます。
稲垣足穂の本を読んだ事があるなら、名前を聞いたことがあると思う。最初の方からいきなり無修正の男色物が出てくる図録でいや、これ本当よく展示出来たなぁって…
・袋法師絵詞
これもネットで見られるところはないっぽい。小柴垣草紙絵巻と並んで春画の古典、らしいので折角展示を見た人は覚えておきましょう。法師が女たちを好き放題する絵巻、って今の漫画とやってる事は変わらないよね…って。
文章の方だけをあげた上で現代語訳している人がいるね。
・勝絵絵巻
これは春画ではなくギャグ漫画に近いテイストの絵巻、でもやっている事は男性器の大きさ比べや放屁合戦なのでここに入ってても違和感がない。ちょっと前に放屁合戦の部分の方が話題にされてたけども男性器比べの方はこの図録で初めて見た。。大きすぎやしませんかね…。
・欠題春画絵巻
大英博物館所蔵って書いてあるからホームページ探せばあるのかもしれない…でも探すのめんどくさいのでやらない。狩野派による絵巻でちょっとおかしさがある、お互い紐でくくって行為に及ぶのは何の意味があるんだろう…
・花園春画絵巻
これもネットにはないのかな。。。前の欠題春画絵巻と似たような構図がある。
あと手淫がなんか多い。
・又兵衛様式春画巻
これもネットには…(ry
貴族が数名の女性をはべらしている構図は一体どこのエロ漫画なのだろうと……。
・欠題春画絵巻六図
なんか他に比べて豪勢に感じる図、解説にも特注だったのではって推測されてるしきっとそうだったのでしょう…。将来今のエロ漫画の限定特典もこうやって謎の一品扱いされてしまうのだろうか…。
・春画絵巻 狩野派
・欠題十二ヶ月 狩野派
ここまで見ていくと春画にもいろんな構図があるんだなぁ、ってわかってくる。ただ行為に及んでいるのではなく女性器を舐めたり、足でいじったり……。こういう方に性的嗜好を見出す人は昔からいたんですね…。
・吉原枕絵様式春画帖
遊郭を描いた春画たち
・衆道図巻
衆道図、となっているけども男対男がメインではなく、若い男と女性の絡みがメイン。ってかこれでも衆道図って言うって初めて知った…。
・鳥居清信 春秋
春画、という言葉でイメージするのはこういう構図だと思う。
・長陽堂安知 恋三味線
局部露出がない絵がある珍しい春画、他と並べる事で”ああこれも…”って分かるので露出がない方がいやらしい。
・西川祐信 春宵秘儀図巻
老若男女いろんな組み合わせがある絵巻
・宮川長春 春の色香
大抵は正常位、というイメージの春画なのにこれは背後からの構図がある。今でも絵としてなら受けいられるような行為だし、昔はどういう扱いだったんだろう……。
・古山師政 競艶図
複数人による構図があるのが特徴。特に男2女4なんて今のエロ漫画でも中々見ないよ……
・月岡雪鼎 春宵秘儀図巻、四季画巻、競艶図。
春画に少し興味ある人なら名前は聞いたことあると思う。ここまで大量に同じ作者の作品が並べられると壮観。図録に収録されている作品ではないけども、ここでいくつか月岡雪鼎の春画が見られます。
・耽溺図断簡
これはかなりインパクトがある。他の春画が一応”春画っぽい絵柄”でごまかしているのに対してこの作品はひたすらリアルに醜悪に性に溺れる男女を描く。他に類を見ないこの作風はかなり貴重だと思う。
・歌川豊春 艶画拾貳図
いろんな場所で行為に及ぶ男女たち、ってか『季刊浮世絵』なんて冊子があるんだ。
・歌川国政 好色十二図
役者浮世絵師で有名な歌川国政で唯一知られている春画、らしい。役者絵?を見ながらそれを真似しようとした行為をしようとする絵(だよね?)なんかは独特。
・歌川国貞 金瓶梅
金瓶梅を題材にした春画、だけども無学な自分は金瓶梅を読んでないのでどこらへんがどのシーンが全く分からない……。女性を縛り上げてるところはいいと思いました。
・円山応挙 春画巻
円山応挙の絵で春画を見せられても…と今見ると思ってしまうけど当時はこれでも興奮出来たのかな。。
・地獄草紙絵巻
地獄に落ちた夫婦が罰を受ける絵巻、随所に性的なイメージが散りばめられていて春画といえばそういう気もする。
・勝川春英 春画幽霊図
幽霊女が生きている男としようとする絵、って今と全くアイデアの質が変わっていない……。何のためにいるのか分からない男幽霊もいるしかなり滑稽で面白い。
・歌川国芳? 妖怪見立陰陽画帖
ネットで見られます。
変態浮世絵、の話題になると蛸と海女の次くらいに出てくる絵なので見たことある人は多い気がする。性器が顔になっているやつのインパクト。
・陽物涅槃図
大英博物館のページで見られます。男性器を追悼する女性器達。いや、他の絵もそうだけど、今でも通用するネタだよこれ。そういや、男性器を祀るのは日本各地で今もあるよね……。
・狩野山楽 英一蝶補作 鶺鴒巻
鶺鴒、って読めなかった…(無知)。まぁ前のに比べたら普通の春画です。
・英一蝶 懐春図
庶民的?というか、小気味より春画
・鳥文斎栄之 源氏物語春画巻
今で言うエロ同人、なんて昔からあったんじゃない…ってまず思う作品。しかもこれは無修正だし…。とはいえ解説では源氏物語の文章+公家装束の男女という感じで男性や女性を源氏物語の登場人物と特定していない(よね?)解釈なので源氏物語のエロ同人というのはまた違うのかもしれない…。
・鳥文斎栄之 四季競艶図、春の戯れ
これは何より書き込みが素敵。肝心の行為とは関係があまりなさそうな、男女の着物から部屋にある物や木々など細部に到るまで綺麗に描かれていてそちらに目が行ってしまう。
・狩野典信 春画巻
徳川一族に伝来していた春画巻(大名家と春画についてはこの図録に詳しく書かれているのでみんな図録を買おう)だけあって結構リアル。
・狩野彰信 天癸両濫
こちらも徳川一族伝来っぽい、大体上と似たような印象
・野沢堤雨 秘儀図巻
図録には書かれてないけども伊藤晴雨の師匠、というと反応する人も多いのでは。ただしSMじゃなく繊細な春画。
・狐忠信と初音図
甲冑を着たままのプレイ、という今じゃ出来ないような行為を描いた作品。屏風で書かれていてめくると局部が顕になるという趣向は面白い。
ちょっと分量多すぎるので、次の記事を分けて版画編に続きます。