東方同人誌感想とか書いてみよう 129冊目
めるくまあるさんの『東方怪弾七 compilation』
タネが割れれば話は簡単
この催しの中心にいるのは私の中でいちばん誰よりも歪みの深い人物───
「ねえ?時々はこっち向いてくれないかな
話したいコトが沢山あるんだ」
東方学園もの、という感じで進むもののこれは誰かが幻想郷で起こした”幻想郷が学園になるような異変”で…。
初読ではかなり分かりにくい構成をしているので読んだ後に少し吟味するかもう一度読み返さない事にはこの作品の面白さは分からない。ような。
二宮金次郎、トイレの花子さん、無人の旋律、十三怪談、朱染乃桜…と学校の怪談を元にした異変が続きそれに挑むキャラと挑まれるキャラ。
それを”学校霊の擬態をする妖怪式”という紫の言葉(1巻P51)やパチュリーの説明(1巻P70)などとはっきりとした説明をまとめて描かずに段階的に書いていくので読みにくさがある。ここを”考察する面白さ”があると楽しむか”説明不足で読みにくい”ですませてしまうかで評価が分かれる作品だよねこれ。個人的には読みにくかった人はこの考察サイトを見れば評価が変わる作品だと思う。
考察については本当、上でほとんど全部書いている気がするので感想だけ。ネタバレになるっぽいから反転してみる(どうでもいい事しか書いてないけど)。
2015 6/14追記
いつの間にかダウンロード版が販売されてました。おまけ付きっぽいし手に入りにくい本っぽいのでこれを機会に欲しい人は買ってみたらどうでしょう。
「いいわね アンタ毎回毎回ヒトんちに馬鹿ども集めるだけ集めてギャーギャー騒いで食って呑んでやりっ放しで」
「おう手伝ってほしーのか?そんならそう云えさ」
「帰れようっとーしい」
あれだけやっても魔理沙の事を霊夢が理解したとはとうてい思えないし。
魔理沙はどうにかして霊夢に相手にされてたくてこの異変を起こしたはずだし、萃香に言われた「あんた相手にされてないじゃん」って台詞も一因になっていると思う。けど、そうした起こした異変も霊夢は「判んねー お前が何云ってんのか全ッ然判んねえ」と一蹴して魔理沙も「結構 理解されてたまるもんかね 気持ちわりいし」とか言い出す。でもずっと怒っているような霊夢に対して魔理沙は笑顔から急に真面目な表情に変わる(3巻P85→P86)。これは色々とやりきってようやく相手にしてもらえた笑顔から、結局霊夢とは絶対に分かり合えない所があるって分かったからこその変化だと思う。
こんな魔理沙達の不器用さに怒った萃香が無理やり異変を終わらせるものの、結局魔理沙と霊夢の溝が埋まったとも思える終わり方ではない。これをハッピーエンドと捉えるかバッドエンドと捉えるかは人によって変わるよね。
個人的には異変を起こす→日常に戻るという日常を描いた作品であって最初も最後も関係は何も変わってない。ハッピーともバッドともくくれないような終わり方。だと思う。魔理沙の目的は完全には達成されてないものの初めから完全に達成出来るとも思ってないだろうし、それでバッドエンドとくくるのもどうかと思うし、関係が特に最初と変わらないような感じもハッピーエンドとはあんまり思わない。とかそんな感じ。
Halationsはめーりんとフランの相互理解の話。
「私たちはこれからもきっと変わっていくのに
あの子の部屋には鍵をかけるの?」
「…ねえ 魔法使い? 硝子の靴もいいけどこの舞踏会の主賓は他の子だってこと
判ってるよね?」
フランとめーりんの学園での関係は友達になりかけてる初め、みたいな関係がそれをレミリアに壊されてしまう。そこから現実の紅魔館へ戻った時の二人の関係は元の関係に戻るも(めーりんは学園の時の記憶がない)、フランの部屋へめーりんが行ったのもその時にフランがめーりんに行った台詞もお互いを理解していないと出来ない行動。
その台詞が「もう 来ちゃダメよ でも ウレシカッタ ばいばい」という風になるところ、その周りの紅魔館住人の台詞にフランの孤独を感じるあたり、Halationsは相互理解の話なのにすごく物哀しい話になっている。気がする。
あ、あといい忘れた。13^13怪談を無理やり昇ろうとする妖夢は天然でかわいい。