TeamInazumaさんの『M7R Continue』
ルーミア漫画詰め合わせ
勢いで突っ込む間もなく進むような1ページ漫画やそれより短い漫画でいろんなルーミアが見られてたのしい。ひどい目にあっているというかどう突っ込んだらいいかわからない目にあってるこの感じ。
163のルーミアがかわいくて好き。かわいいというかみんな優しいよねこれ。
定期的にツイッターなんかで無断転載だめ、トレースだめみたいなの出てきますが、それが著作権法のどこでダメなのか言及せずに言っている人もちらほらいる気が……
というわけで読書感想。久しぶりに再読。
マンガと著作権―パロディと引用と同人誌と (コミケット叢書)
2000年にコミケ準備会が行われたシンポジウム2回をまとめた本。米沢嘉博や夏目房之介や竹熊健太郎などの評論家といしかわじゅんや高河ゆんやとりみきなどの漫画家側が話す会と弁護士達と漫画家のみなもと太郎が話す会の2回分。コミケ準備会が関わっているだけあってそのままマンガと著作権に関する実際の事例がいっぱい出てきて面白い。
目次はこんなの。こういうの読みたい人結構いるんじゃないのかなぁ(たぶん)
引用についてなんかは実際出した本なんかを事例にこれがダメこれが良い。というのをシンプルに説明しているのでわかりやすい。
夏目─引用する場合、まず報道、批評、研究の文章なりなんなりであること、次に出処が明治されていること、三番目に必然性があること、この三つだと考えれば大体間違いないと思います。(28ページ)
あとたまにみんな知らないような著作権の知識がさらりと出てきて面白い、絶版マンガで著作権者不明の場合文化庁に供託金を預ければ発行できるのか……これって同人誌にも有効なのかなぁ?
竹熊─文化庁が、公的には具体的に著作権に対しての国の窓口になってまして、作家が行方不明だったり、あるいは没後時間が経って著作権があるのかわからない、著作権者が誰かわからない。そういうマンガを復刻する時に裏技があるらしんですよ。文化庁に印税相当の供託金を預ければ少なくとも初版に関しては出せるという
米澤─ただそれもその前に探してたという証拠が必要で
竹熊─八方手を尽くしてそれでも見つかりませんでしたというのがあればいいみたいですが(48ページ)
この本自体は2001年に発行されたもので、収録されているシンポジウムも2000年開催のもの。これ以降に著作権法は非親告罪化という大きな改正を行っているのでこのまま現代にそっくりそのまま通用するわけでもないですが(特に2回目のシンポジウムは時代が変わるとだいぶ変わってくる気がする)、同人とかやる人にとって引用やパロディの線引、特に何が著作権法で許されて許されないかをなんとなく理解するのにはうってつけの本だと思う。判例百選とか読むよりよっぽどわかりやすいし読みやすい。
あと一応最後に著作権関連の事件まとめみたいなのああるのですが、概略だけで詳しくは書いてないのでちょっとそこはあれかなぁ、そりゃあここを書こうとすると本の幅が大幅に増えるだろうけど判決内容すら書いてないのはねぇ。
とりあえずここらへんは見といた方がいいかもってやつかも
脱ゴーマニズム宣言事件
SoNさんの『猫歩きのあとで』
酉京都キャッツウォークの後日談。
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相変わらず不思議な雰囲気の中楽しむ蓮子とメリー。あのキャラとあのキャラが違和感なく秘封の世界にいるのがまた不思議。全然深い事は考えず、秘封倶楽部だからこういうのもありだよねみんなかわいいからいいよね、みたいになる。
そういえばbook walkerのダウンロード同人誌って一体どういう基準でここにだけ二次創作許諾しているのだろう。ここで許諾するならAmazonでもやってくれれば便利なのにまぁ同人誌だから神主にはなんか譲れない線があるのでしょうとかいろいろ思ったり。。。
電子同人書籍の個人的な使い勝手はmelonDLやDLsiteやboothのがよっぽど使いやすい気がする。ここで出すのはどんだけ売れてるのかなぁ
司法大臣がページをめくった。禁止事項のリストは長く、小さな活字でびっしり印刷されていた。
今後、男性は自動車を運転することはできない。
今後、男性は事業主となることはできない。外国人のジャーナリストやカメラマンは女
性に雇用されることが必要。
今後、男性だけで集まることは許されない。自宅であっても、三人以上集まる場合はかならず女性の同席が必要、
今後、男性には選挙権は認められない。長年の暴力と腐敗から見て、男性が支配や統治に向いていないのは明らかである。
これらの法律を公然と無視している男性を見かけた女性は、ただちにその男性に懲罰を加えることができる。というよりそれが義務である。この務めを怠るものは国家の敵であり、犯罪の従犯すなわち国の平和と調和を乱そうとするもののひとりと見なされる。
その後の数ページには、これらの規則に関するささいな例外事項、なにをもって「女性の同行」とするかという説明、医学的な緊急事態の場合の緩和措置──なんといっても男性も人間んはちがいないのだから──が記載されていた。リストの読みあげが続くにつれて、会見場はいよいよ静かになっていく。
司法大臣はリストの朗読を終えると、静かに原稿をおろした。肩にはまったく力が入っておらず、顔は無表情だ。
「以上です」彼女は言った。「質問は受け付けません」
というわけで読書感想。女性が突如力を得て、男性を支配していく様を描いたSF。
この突如力を得ていく過程が「なんか突然女性全員に電撃が出せるようになった」というトンデモ設定に近いものなんですが、話の要点はそこではなく「もし女性が男性のような権力を手にしたらどうなるか?」みたいな事がメインの本。電撃うんぬんは舞台設定でしかないのであまり深く考えてはいけない。たぶん。
作中で描かれてる女性が男性に抑圧 していく過程と内容はけっこう酷いと思うものはあるけども、それは現実の男性が女性にやってる事だよね?なんでフィクションで女性がそれをやろうとする時と現実で男性がやっている事で思い描く感情が違ってくるの?というわかりやすいメッセージが込められている。作品で描かれる体制や制度への批判はそのまま現実の批判へとつながるようにできているのは上手いしそれが面白い。
また、あらすじだけ事前に知る読む前いわゆるフェミな人たち寄りの本かと思いがちですが、それに関する皮肉の本とも読める気がする。この男性を抑圧する世界を喜ぶ人なら、これをディストピア小説として読めないならそれはフェミニズムではないよね?的な。
この作品は女性が男性を支配しだいぶ時が経った世界の歴史小説という体裁をとっていて、その世界では「男性の支配する世界」は”いまの世界よりずっと穏やかで、思いやりがあって、ずっとセクシーな世界”と想像されている。これが皮肉でなくてなんなのだろう。
とはいえこんな簡単に男女を分けて、逆転させて物事を考えられるのかというと世界はそう単純ではないのではという思いも出てくるのも事実。どうしてもある部分だけを切り取ってそれを誇大化しすぎなのでは感は出てくる。いやまぁSFってそういうものですが、ページ数が長いので……。
まぁ読了感はさわやかすっきりとする本ではないのは確かだけども、こういう視点のSFは実に今の時代なSFっぽくて良い本ですよ。