読書感想 都会で暮らす息苦しさとだれも助けてくれない閉塞感を追っていった『東京貧困女子』
『東京貧困女子』
──10年後、どうなっていると思う?
暗い話ですけど、たぶん自殺していると思います。将来のことはよく考えるけど幸せな自分は当然、生きている自分の姿も想像つかない
東洋経済オンラインの記事を本にまとめたもので記事を読んだこともいると思います
https://toyokeizai.net/category/hinkon
都会で暮らすにはとにかく、普通に働いているだけでは生活ができない。
そのために身体を売る人、派遣でブラックな仕事場に務める人。いろいろな女性たちにインタビューしていって現実を見ていこうとする本。そこにはとても「自己責任」という言葉なんかでは片付けられない現実がある。誰かがなにかしないとたぶん袋小路から抜け出せない人生もあって、そこに至るまでの責任は決して彼女たちだけのせいではないのでは。と思ってしまう。
とはいえ「自己責任」という言葉が大好きな人たちがこれを読んで考え方を変えるかというと変えないだろうし(たぶん)、この本は問題提起をしているだけでこの社会の解決策を提示しているわけでもない。結局のところ彼女たちを救う方法が読者たちにはほぼほぼないという現実と、「女子」ではなく「中年男子」や他の人達にもこれは来るのではというから恐ろしさを感じてしまう。
いちおう最後に救いがあるように見える場所の存在を教えてくれる構成にはなっているけども、これを救いだとすると…………ねぇ?