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憲法改正国民投票の内容についての覚書、またよくある誤解

あくまでも個人的に調べただけなので間違っているところがあったら指摘してください。

 

※参考

日本国憲法96条

日本国憲法の改正手続に関する法律 抄

国会法

衆議院憲法審査会会議録

自民党憲法草案の条文解説(前文~40条)

 

憲法改正の流れは

改正案を決定する→両議院の2/3を通過する→国民投票で1/2以上が賛成の場合に改憲される

という流れです。これだけ理解があれば充分じゃないの?と思ってしまいそうなところに落とし穴があります。

これでは「憲法改憲案全部を審査するのか」「憲法改正案を個別に審査するのか」「1/2って何に対する1/2なのか」が理解出来ません。

 

そして多くの皆さんが思っている気がする

「憲法改正案全体」を国民投票をかけて「有権者数(あるいは投票者数)の1/2が賛成」をした場合に改憲が行われる。

というのは誤解なのでは?という記事です

 

まず一番誤解されてそうなところですが

 

×「有権者数(あるいは投票者数)の1/2が賛成」したした場合に改憲

○「有効投票の過半数が賛成した」場合に改憲

です

日本国憲法96条

この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。

 

 

国民投票法98条

中央選挙管理会は、前項又は第百三十五条第六項後段の報告を受けたときは、直ちに憲法改正案に対する賛成の投票の数及び反対の投票の数、投票総数(憲法改正案に対する賛成の投票の数及び反対の投票の数を合計した数をいう。)並びに憲法改正案に対する賛成の投票の数が当該投票総数の二分の一を超える旨又は超えない旨を官報で告示するとともに、総務大臣を通じ内閣総理大臣に通知しなければならない。

 国民投票法はかなりわかりにくい記述ですが、賛成の投票+反対の投票÷2=有効票としています。つまり無効票’(82条)はカウントしないので「投票者数」ではなく「有効投票数」の過半数が正しい事になります。96条の文言がそもそも曖昧なので「有効投票数の過半数」でも別に違憲でもなんでもないのですが、誤解が多そうなところなので一応。

 

さて、陰謀論者の方々なら「反対に投票したはずなので無効になる票」を増やしてしまう事で「改憲」が可能になる。とまで言いそうですがさすがにそんな事は不可能でしょう。さすがに。ただ「有効投票の過半数で改憲」としている方が改憲側に有利なのも事実。例を記すと

※「有権者の過半数が改憲に賛成の場合」のみ改憲という場合
100000人が投票に参加(有権者数20000として)

49901賛成
49899反対
200    無効票
これでも「有権者数の過半数には達してない」ので改憲はされない (反対派有利?)

※「投票者の過半数が賛成の場合」のみ改憲という場合
100000人が投票に参加(有権者数200000として)

49901賛成
49899反対
200 無効票
これだとしても「投票者の過半数には達していない」ので改憲はされない  (反対派有利?)


※「有効投票の過半数が賛成の場合」改憲されるという場合
100000人が投票に参加(有権者数200000として)

49901賛成
49899反対
200 無効票
これで改憲が可能、投票率は考慮されない(改憲派有利?)

 真ん中の扱いで国民投票が行われる、という誤解がかなり多そうなので改めて書きました。下に行くにつれて「現行制度を変えたい人達」が有利になる。ような気がします。

まぁ、裁判官罷免制度も「有効投票の過半数」で罷免される制度になってますね一応。

無効にされる人達の票なんてそもそも考慮する必要なんてない。という意見が出てくるのも分かりますが、現状の法案だと投票に行かない人が増えるほど「組織票が出来る派閥の方が有利」という風に作られています。それがどちらかはまだ分かりませんが。

 

さて、次です

△「憲法改正案は全部まるごと国民投票にかけられる」

△「憲法改正案は法案ごとに国民投票にかけられる」

△「憲法改正案は項目ごとにまとめられて、それを国民投票にかけられる」

 

「憲法改正するか否か」だけを賛成反対で投票するという事になる事が決定してるわけではないです。

これはまだ議論が終わっていないので「憲法改正案はまるごと全体を国民投票にかけられる」可能性も「項目ごとにまとめられる」可能性もあります。

 

憲法96条には「個別に審査するのか」「全体を審査するのか」は書かれてませんが、国会法68条には

第六十八条の三  前条の憲法改正原案の発議に当たつては、内容において関連する事項ごとに区分して行うものとする。

総務省ホームページには

憲法改正案は、内容において関連する事項ごとに提案され、それぞれの改正案ごとに一人一票を投じることとなります。
 

と書かれています、憲法審査会会議録でも同じような事が語られています。
他方、憲法改正原案については、国民に開かれた形で、特に慎重かつ十分な審議が要請されます。この趣旨に鑑みれば、日本国憲法の調査を所管事項の筆頭に掲げている憲法審査会において、事前に、改正の必要性があるかないか、あるとした場合には、その具体的な内容及び論点に関する調査がなされ、衆参両院の意思の疎通を図りつつ、これらを踏まえて憲法改正原案が立案され、憲法審査会から提出されるというのが典型的な手続との認識が示されてきました。 憲法改正原案は、内容において関連する事項ごとに区分して発議するものとされています。これが個別発議の原則です。 憲法改正は、基本的に国家の基本ルールの変更ですから、これに当たっては民意を正確に反映させることが必要で、平成十八年十一月三十日の日本国憲法に関する調査特別委員会では、例えば、「第九条の改正と環境権の創設という全く別個の事項について、それを一括して国民投票に付するということは明らかに好ましくない」と答弁されています。このようにして、内容が異なる憲法改正案は、それぞれ別個に国民投票にかけられることになります。

「9条と環境権の創設」をひとまとめにして国民投票にかけるのはおかしい、という当たり前の事を憲法審査会は言っているわけですが、「法案の条文それぞれ」を審査にかけるのか「関連項目をおもいきりまとめてしまったもの」を審査にかけるのかはどこにもまだ明記されてません。

 

これは「どのような条文だとしても関連項目としてひとまとめにしてしまえば、条文そのものを周知せずに国民投票にかける」事も「内容において関連する事項をそもそもおもいきり1つにして改憲そのものの是非を問う国民投票にかける」事も「それぞれの改正案と現行憲法を逐一比較させてそれを国民投票にかける」事も可能という風に考える事が出来る気がします。今の時点では「どのような形で国民投票にかけるかは決まっていない」という事しか分かりません。

 

最終的にどのような形の国民投票になるかはともかく「単純に改正について一括で賛成反対を決める」事にはならないと思います。それは改憲派に不利だから。ただ、今後の流れでどうなるかは分かりませんけどね。。

 

どうでもいいので、投票に行かないという事は絶対にやめた方が良いよ。イギリスみたいになっても遅いよ?本当に憲法改正国民投票があるなら