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群像2016/5月号 『絵本グリム童話』の感想。 新しく味付けされた物語を読むのは楽しい。

 

群像 2016年 05 月号 [雑誌]

群像 2016年 05 月号 [雑誌]

 

絵本グリム童話、特集を銘打った群像5月号。

カラー絵をつけて300ページ長(特集の部分は1/3くらいとは言え)の分量って 原稿料まで払ってるわけだからこの値段でも絶対に赤字だよねぇ……。とまぁいらない心配をしてしまうわけですがまぁ文芸誌ってそういうものですしね…。

まぁそれは置いといて、この特集がめっぽう面白かったので感想を。そのうち単行本化されるはずだけども、こういうのを先に読めるのが文芸誌の面白さ。各作家ごとに挿絵担当も変えている凝りっぷりがまた良いです。

以下感想と元ネタリンク(翻訳がないのも入ってるけどまぁ…)

 

・村田喜代子×酒井駒子「手なし娘協会」(手なし娘)

手なしむすめ - グリム兄弟

手なし娘が大量にいる世界、というありえない世界を読む楽しさ。あまり深く意味を考えずにこの世界観を楽しむと面白いよ。

 

・長野まゆみ×田中健太郎「あめふらし」

あめふらし - グリム兄弟

長野まゆみの作品ってなんか久々に読んだ。長野まゆみVerは原作以上に残酷さが増しているような作品。

 

・松浦寿輝×及川賢治「BB/PP」

青ひげ - Wikipedia

これはSFチックにした「青ひげ」、そしてここまでやっても「原作」の方が残酷だったのでは……?って思うような話。こちらはこちらでいいけどね。

 

・多和田葉子×牧野千穂「ヘンゼルとグレーテル」

ヘンゼルとグレーテル - グリム兄弟

「魔女」は如何にして生まれたのか、という事を付け足していて他にもほんのちょっとだけの味付けをしただけの作品。そしてそれらの要素だけで実に独特の作品になっていてまたすごい。

 

・千早茜×宇野亜喜良「ラプンツェル」

ラプンツェル - グリム兄弟

これもなんかSFチックな世界観。SFというか退廃的な世界というか。ラプンツェルはこれで幸せだったのだろうか……的な話になってる。宇野亜喜良の絵がまた印象的。

 

・穂村弘×ささめやゆき「赤ずきん」

赤ずきん - グリム兄弟

見たことあるフレーズをかなり引用していて、その上で最後の方になると……。

どう考えてもありえないような文章も情景がなんか想像出来てしまうあたり(180~184ページあたり)は、さすが穂村弘の文章って感じって良かったです。