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公報を第三者がネットに公開しちゃいけないの? 判例見てもよくわからないので実際に誰かが訴えないとわからない…ような。

 

 

 

愛知県知事のリコール署名と公報についていろいろ言われますね。

以下いろいろな事を適当に貼り付けてるだけの記事。結論だけ先に言うと「公報で公開されてるよ、とは言っていいけど住所氏名をスクショに貼るのはグレーでは?でもよくわからない」というなんともいえない結論に。

公報についてのリンクはここには貼りません。それくらい自分で調べて見ましょう。

 

さて、リコール署名を集めた代表者を公開してるのは地方自治体にはそれをする義務があるからで、これ自体は違法ではなくむしろやらなければいけません(地方自治法91条)

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322CO0000000016#193

第九十一条 地方自治法第七十四条第一項の規定により普通地方公共団体の条例の制定又は改廃の請求をしようとする代表者(以下「条例制定又は改廃請求代表者」という。)は、その請求の要旨(千字以内)その他必要な事項を記載した条例制定又は改廃請求書を添え、当該普通地方公共団体の長に対し、文書をもつて条例制定又は改廃請求代表者証明書の交付を申請しなければならない。
○2 前項の規定による申請があつたときは、当該普通地方公共団体の長は、直ちに市町村の選挙管理委員会に対し、条例制定又は改廃請求代表者が選挙人名簿に登録された者であるかどうかの確認を求め、その確認があつたときは、これに同項の証明書を交付し、かつ、その旨を告示しなければならない。
○3 第一項の証明書の交付を受けた条例制定又は改廃請求代表者が二人以上ある場合において、その一部の条例制定又は改廃請求代表者が地方自治法第七十四条第六項各号のいずれかに該当するに至つたときは、他の条例制定又は改廃請求代表者は、当該証明書を添えて、当該証明書を交付した普通地方公共団体の長に届け出て、当該証明書に条例制定又は改廃請求代表者の変更に係る記載を受けなければならない。
○4 市町村の選挙管理委員会は、第一項の証明書の交付を受けた条例制定又は改廃請求代表者が地方自治法第七十四条第六項各号のいずれかに該当することを知つたときは、直ちにその旨を当該証明書を交付した普通地方公共団体の長に通知しなければならない。
○5 第一項の証明書を交付した普通地方公共団体の長は、第三項の届出又は前項の通知を受けた場合その他当該条例制定又は改廃請求代表者が地方自治法第七十四条第六項各号のいずれかに該当することを知つたときは、直ちにその旨を告示しなければならない。

 またこの公報について著作権がないことは公益法人著作権情報センターが言及しています

https://www.cric.or.jp/qa/hajime/hajime1.html

ただし、「署名した人全員が公開されている」のというはデマ。町山智浩もそんな事は一言も言ってない。公報に公開されているということ以外は言わない巧妙な言い回しだったはず。署名が見られるのは有効になるくらい集まってからなはずで、しかも当該選挙区の人だけなのでは(違うっけ?)
第七十四条の二 条例の制定又は改廃の請求者の代表者は、条例の制定又は改廃の請求者の署名簿を市町村の選挙管理委員会に提出してこれに署名し印をおした者が選挙人名簿に登録された者であることの証明を求めなければならない。この場合においては、当該市町村の選挙管理委員会は、その日から二十日以内に審査を行い、署名の効力を決定し、その旨を証明しなければならない。
○2 市町村の選挙管理委員会は、前項の規定による署名簿の署名の証明が終了したときは、その日から七日間、その指定した場所において署名簿を関係人の縦覧に供さなければならない。
○3 前項の署名簿の縦覧の期間及び場所については、市町村の選挙管理委員会は、予めこれを告示し、且つ、公衆の見易い方法によりこれを公表しなければならない。
○4 署名簿の署名に関し異議があるときは、関係人は、第二項の規定による縦覧期間内に当該市町村の選挙管理委員会にこれを申し出ることができる。
○5 市町村の選挙管理委員会は、前項の規定による異議の申出を受けた場合においては、その申出を受けた日から十四日以内にこれを決定しなければならない。この場合において、その申出を正当であると決定したときは、直ちに第一項の規定による証明を修正し、その旨を申出人及び関係人に通知し、併せてこれを告示し、その申出を正当でないと決定したときは、直ちにその旨を申出人に通知しなければならない。
○6 市町村の選挙管理委員会は、第二項の規定による縦覧期間内に関係人の異議の申出がないとき、又は前項の規定によるすべての異議についての決定をしたときは、その旨及び有効署名の総数を告示するとともに、署名簿を条例の制定又は改廃の請求者の代表者に返付しなければならない。
○7 都道府県の条例の制定又は改廃の請求者の署名簿の署名に関し第五項の規定による決定に不服がある者は、その決定のあつた日から十日以内に都道府県の選挙管理委員会に審査を申し立てることができる。
○8 市町村の条例の制定又は改廃の請求者の署名簿の署名に関し第五項の規定による決定に不服がある者は、その決定のあつた日から十四日以内に地方裁判所に出訴することができる。その判決に不服がある者は、控訴することはできないが最高裁判所に上告することができる。
○9 第七項の規定による審査の申立てに対する裁決に不服がある者は、その裁決書の交付を受けた日から十四日以内に高等裁判所に出訴することができる。
○10 審査の申立てに対する裁決又は判決が確定したときは、当該都道府県の選挙管理委員会又は当該裁判所は、直ちに裁決書又は判決書の写を関係市町村の選挙管理委員会に送付しなければならない。この場合においては、送付を受けた当該市町村の選挙管理委員会は、直ちに条例の制定又は改廃の請求者の代表者にその旨を通知しなければならない。
○11 署名簿の署名に関する争訟については、審査の申立てに対する裁決は審査の申立てを受理した日から二十日以内にこれをするものとし、訴訟の判決は事件を受理した日から百日以内にこれをするように努めなければならない。
○12 第八項及び第九項の訴えは、当該決定又は裁決をした選挙管理委員会の所在地を管轄する地方裁判所又は高等裁判所の専属管轄とする。
○13 第八項及び第九項の訴えについては、行政事件訴訟法(昭和三十七年法律第百三十九号)第四十三条の規定にかかわらず、同法第十三条の規定を準用せず、また、同法第十六条から第十九条までの規定は、署名簿の署名の効力を争う数個の請求に関してのみ準用する。

 

さて、公開されてる情報だからといって他の人がスクショを貼って住所氏名を晒していいのかという問題があるわけですが

『宴のあと』事件で言及されたプライバシー権についての3つはこれ

http://net-aegis.com/blog/125

(イ)私生活上の事実または私生活上の事実らしく受け取られるおそれのあることがらであること

(ロ)一般人の感受性を基準にして当該私人の立場に立った場合公開を欲しないであろうと認められることがらであること,換言すれば一般人の感覚を基準として公開されることによって心理的な負担,不安を覚えるであろうと認められることがらであること

(ハ)一般の人々に未だ知られていないことがらであること

 

 

ネットに公開された個人情報についての判例も↓

・電話帳に記載された氏名住所をネットに公開したことに対しての賠償金が認められた判例京都地裁平成29年4月25日判決(平成27年(ワ)第2640号)

https://kanz.jp/hanrei/detail/86857/

 

ア 原告の氏名,住所及び電話番号のプライバシー該当性
プライバシーとして法的に保護されるべき情報とは,個人の私生活上の
事実又は情報で,周知のものではなく,一般人を基準として,他人に知ら
れることで私生活上の平穏を害するような情報であることが必要である。
これを本件について見ると,原告の住所(これに付随する郵便番号も含
む。)及び電話番号は,原告の生活の本拠を客観的かつ明確に示すものであ
り,かつ,郵便ないし電話等の手段により情報を伝達するために必要な情
報であって,個人の私生活上の事実ないし情報であるといえ,かつ,周知
の情報ではない。そして,他人に知られることで生活の本拠における平穏
が侵害されるおそれがあるから,一般人を基準として,他人に知られるこ
とで私生活上の平穏を害するような情報であるといえる。そして,氏名は,
個人を他人から識別し,特定する機能を有するものであり,当該個人の他

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の情報と結びつくことによってその情報と個人の関連性を示す機能を果
たす。
以上からすれば,原告の住所,電話番号及び郵便番号は,原告の氏名と
結びついて,原告のプライバシーに係る情報として法的保護の対象となる
というべきである。

他にも登記簿や訴訟記録をネットに公開したとして賠償金や削除が認められた事例があります。

住所・氏名・電話番号の削除請求 - ネット上の誹謗中傷・風評被害対策/削除【IT弁護士 神田知宏】

 

 

これらを見ると

・公報をネットに公開するのは自治体の義務だからやらないといけない

・だからといって住所氏名まで他の人がスクショに貼っていいとはいえない?

・公報に書いてありますよ、までならセーフ?

・ツイート削除しちゃったんだから、訴えてもそこまで被害を認めてもらえないのでは?

 

ただし高須院長が言ってるのは公報に書いてある住所氏名を第三者がネットに公開したことではなく、リコール妨害について。

 これについても町山智浩のツイート自体は「公報で公開されてますよ」以外は何も言ってないツイートだったし、むしろ妨害に至っていたのは周りの人たちで、公開された住所だからといってそこから色々やってしまうとアウトなのでは?と思わなくもない。

https://elaws.e-gov.go.jp/search/elawsSearch/elaws_search/lsg0500/detail?lawId=322AC0000000067#301

第七十四条の四 条例の制定又は改廃の請求者の署名に関し、次の各号に掲げる行為をした者は、四年以下の懲役若しくは禁又は百万円以下の罰金に処する。
一 署名権者又は署名運動者に対し、暴行若しくは威力を加え、又はこれをかどわかしたとき。
二 交通若しくは集会の便を妨げ、又は演説を妨害し、その他偽計詐術等不正の方法をもつて署名の自由を妨害したとき。
三 署名権者若しくは署名運動者又はその関係のある社寺、学校、会社、組合、市町村等に対する用水、小作、債権、寄附その他特殊の利害関係を利用して署名権者又は署名運動者を威迫したとき。
○2 条例の制定若しくは改廃の請求者の署名を偽造し若しくはその数を増減した者又は署名簿その他の条例の制定若しくは改廃の請求に必要な関係書類を抑留、壊若しくは奪取した者は、三年以下の懲役若しくは禁又は五十万円以下の罰金に処する。
○3 条例の制定又は改廃の請求者の署名に関し、選挙権を有する者の委任を受けずに又は選挙権を有する者が心身の故障その他の事由により請求者の署名簿に署名することができないときでないのに、氏名代筆者として請求者の氏名を請求者の署名簿に記載した者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
○4 選挙権を有する者が心身の故障その他の事由により条例の制定又は改廃の請求者の署名簿に署名することができない場合において、当該選挙権を有する者の委任を受けて請求者の氏名を請求者の署名簿に記載した者が、当該署名簿に氏名代筆者としての署名をせず又は虚偽の署名をしたときは、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。
○5 条例の制定又は改廃の請求者の署名に関し、次に掲げる者が、その地位を利用して署名運動をしたときは、二年以下の禁又は三十万円以下の罰金に処する。
一 国若しくは地方公共団体の公務員又は行政執行法人(独立行政法人通則法(平成十一年法律第百三号)第二条第四項に規定する行政執行法人をいう。)若しくは特定地方独立行政法人地方独立行政法人法(平成十五年法律第百十八号)第二条第二項に規定する特定地方独立行政法人をいう。)の役員若しくは職員
二 沖縄振興開発金融公庫の役員又は職員
○6 条例の制定又は改廃の請求に関し、政令で定める請求書及び請求代表者証明書を付していない署名簿、政令で定める署名を求めるための請求代表者の委任状を付していない署名簿その他法令の定める所定の手続によらない署名簿を用いて署名を求めた者又は政令で定める署名を求めることができる期間外の時期に署名を求めた者は、十万円以下の罰金に処する。

 

結局最初に書いたように「公報で公開されてるよ、とは言っていいけど住所氏名をスクショに貼るのはグレーでは?でもよくわからない」ってなってなんとも締まりのない結論に。実際訴えたらなにかわかるのだろうけども、言うだけでやらなそうだよね。町山智浩は一言もリコール署名者を妨害しようなんて言ってなかった。そういう風に解釈してしまう人がいるだけ。
まぁでも「リコール署名した人たち全員の住所氏名がネットに公開してる」は明らかなデマなのでそう言っている人は削除した方がいいですよ。
たとえ主義主張が違っていてもデマでリコール署名を萎縮させる事が容認されるわけではないですよ。