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読書感想 村上春樹『一人称単数』

 

一人称単数 (文春e-book)

一人称単数 (文春e-book)

 

 自分は春樹の熱心な読者ではないし、なんか手に取れるときがあったら読もうという程度のレベルなんですがひさしぶりに新刊を手にとったので感想を。

 

「石のまくらに」や「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」や「謝肉祭(Carnaval)」などに出てくる男女の出会いの話、というかディスコミュニケーションの話みたいなのが好きで、
そこに出てくる女性の行動の内側まで決して描かれないし、主人公も敢えて深く想像したりはしない。答えを考えなくて良いような短編っていいよね。
特に何も解釈とかせずに「それはそういうもの」だと楽しめるので春樹の短編はすき。

 

この「特になんも解釈なんてせずに楽しむものだ」という自分の読み方のは春樹の長編読むとなんかくどく感じてあまり好きじゃないんですがまぁそれはまた別の話。

 

そして面白いのが「『ヤクルトスワローズ詩集』」
昔本人が自費出版で出した『ヤクルトスワローズ詩集』などに触れた作品。
自伝的で面白いし、とにかく気になるのが”『ヤクルトスワローズ詩集』って持ってる熱心なファンいるの?自分は聞いたことないよ?”
って思って調べてみた。

 

HPで描かれてる文にも『ヤクルトスワローズ詩集』について書いてあるんですが
https://www.yakult-swallows.co.jp/pages/fanclub/honorary_member/murakami
どうも『ヤクルトスワローズ詩集』というのは存在せずたまに出してくるお遊びみたいなものらしい。それっぽく描かれてるからまんまと騙された。本人は騙される人を見て笑ってそう
https://withnews.jp/article/f0170526000qq000000000000000W03610101qq000015239A

ファンならこれがキルゴア・トラウトみたいな遊びってわかるのでしょうが、つい調べてしまった自分みたいな人にとってはこの架空の書物の設定が面白かった。
なかなか架空の自作をでっち上げる人はいないのでは。


あと「品川猿の告白」の猿の設定面白かったですが、調べてみるとこれ続編?みたいなもんなんですね。そっちの方は読んでないから知らなかった。猿には猿の愛の形があるし、能力の設定も不思議なのがいい。