同人誌と著作権というオタな人がみんなよく言及するようなお話の本『マンガと著作権~パロディと引用と同人誌と~』
定期的にツイッターなんかで無断転載だめ、トレースだめみたいなの出てきますが、それが著作権法のどこでダメなのか言及せずに言っている人もちらほらいる気が……
というわけで読書感想。久しぶりに再読。
マンガと著作権―パロディと引用と同人誌と (コミケット叢書)
- 作者: 米沢嘉博
- 出版社/メーカー: コミケット
- 発売日: 2001/08
- メディア: 単行本
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2000年にコミケ準備会が行われたシンポジウム2回をまとめた本。米沢嘉博や夏目房之介や竹熊健太郎などの評論家といしかわじゅんや高河ゆんやとりみきなどの漫画家側が話す会と弁護士達と漫画家のみなもと太郎が話す会の2回分。コミケ準備会が関わっているだけあってそのままマンガと著作権に関する実際の事例がいっぱい出てきて面白い。
目次はこんなの。こういうの読みたい人結構いるんじゃないのかなぁ(たぶん)
引用についてなんかは実際出した本なんかを事例にこれがダメこれが良い。というのをシンプルに説明しているのでわかりやすい。
夏目─引用する場合、まず報道、批評、研究の文章なりなんなりであること、次に出処が明治されていること、三番目に必然性があること、この三つだと考えれば大体間違いないと思います。(28ページ)
あとたまにみんな知らないような著作権の知識がさらりと出てきて面白い、絶版マンガで著作権者不明の場合文化庁に供託金を預ければ発行できるのか……これって同人誌にも有効なのかなぁ?
竹熊─文化庁が、公的には具体的に著作権に対しての国の窓口になってまして、作家が行方不明だったり、あるいは没後時間が経って著作権があるのかわからない、著作権者が誰かわからない。そういうマンガを復刻する時に裏技があるらしんですよ。文化庁に印税相当の供託金を預ければ少なくとも初版に関しては出せるという
米澤─ただそれもその前に探してたという証拠が必要で
竹熊─八方手を尽くしてそれでも見つかりませんでしたというのがあればいいみたいですが(48ページ)
この本自体は2001年に発行されたもので、収録されているシンポジウムも2000年開催のもの。これ以降に著作権法は非親告罪化という大きな改正を行っているのでこのまま現代にそっくりそのまま通用するわけでもないですが(特に2回目のシンポジウムは時代が変わるとだいぶ変わってくる気がする)、同人とかやる人にとって引用やパロディの線引、特に何が著作権法で許されて許されないかをなんとなく理解するのにはうってつけの本だと思う。判例百選とか読むよりよっぽどわかりやすいし読みやすい。
あと一応最後に著作権関連の事件まとめみたいなのああるのですが、概略だけで詳しくは書いてないのでちょっとそこはあれかなぁ、そりゃあここを書こうとすると本の幅が大幅に増えるだろうけど判決内容すら書いてないのはねぇ。
とりあえずここらへんは見といた方がいいかもってやつかも
脱ゴーマニズム宣言事件