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読書感想

『あのとき、大川小学校で何が起きたのか』

現実に起こる事というのはフィクションなんかよりもよっぽど後味が悪くて……。報道だとあまり語られない事が結構書かれてるので覚書程度に

あのとき、大川小学校で何が起きたのか

あのとき、大川小学校で何が起きたのか

 

 山にダーッと登っていった子がいたが、教諭の誰かから「戻れ!」と怒られ、連れ戻された。 

大川小児童の遺族が立ち上がってから4ヵ月明らかになった真実、隠され続ける真相とは|大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~|ダイヤモンド・オンライン

 

・避難マニュアルがひな形のまま存在していた

文科省への報告文書はわずかA4版5枚 中央官庁、大川小の惨事を把握せず|大津波の惨事「大川小学校」~揺らぐ“真実”~|ダイヤモンド・オンライン

つまり架空の避難場所が載ってたまま放置、津波の避難訓練もした事がなかった。

 

・生き残ったただ1人のA教諭は「高台に避難することになった」と当時証言

「高台に避難することになった」けど「裏山には倒木が多かった」とのA教諭証言がこの本には記載されてる。

ただし、この本の書き方や遺族の発言を読むと「教諭が自己保身のために嘘をついている」のではなく「市教委などから圧力があったせいで発言が変えられたのでは?」みたいなニュアンスで読む事ができる。「A教諭の発言とされる報告書そのものが市教委の捏造説」まで書かれてるので藪の中みたいな話にもなる…。

本ではA教諭が校舎の2階に行った時に津波がすぐ来るのが見えて、一人で逃げた(もうすぐ大津波が来る、となった時にこの判断を責める事は出来ない)。逃げる過程で生徒に「こっちだ」といいこれで1名生き延びる事が出来た。それで児童を1名連れて工場に避難した。との仮説を立ててます。ただし、このA教諭の避難ルートは今になっても特定出来ていないようです。

 

※A教諭は今回の裁判で精神疾患を理由に証言拒否しています

大川小訴訟の原点、生き残り教諭の聞き取り焦点 - 社会 : 日刊スポーツ

 

・「山に逃げよう」とA教諭や生徒が言っていた、と証言があるものの市教委報告書には一切記載がない

46~60pにわたってこの矛盾がまず紹介されて、この本は報告と実際に起きたであろう出来事の差異をどうにか追っていくスタイルをとっています。それはやっぱり後味が悪いもので。

あの日、大津波が来る直前まで皇帝にいた、多くの同級生たちが「山に逃げよう」

と訴え、教師で唯一、生還したA教諭も「山だ!」と声を張り上げていた。この証言はとても重大かつ貴重な事実である。ところが、その事実はなぜか、事情聴取の記録に残されることはなかった。

 

・校長の聴き取り調査でA教諭は「引き渡し中に津波に遭遇」と証言、2011/3/16には市教委はこの証言を把握していたものの、「三角地帯に避難中に津波に遭遇」証言を公式記録として採用。2012年までこれはわからなかったらしい。

 

こんなんだから裁判でいまだに争うわけで。記載はちょっとこんがらがってるので上の表現は正確じゃないかも。気になるなら本読んでね(ステマ)

 

これとは別に第三者委員会を設置し調査報告をそのコンサル会社に2000万円使って丸投げした。ここで遺族がキレて訴訟に踏み切った、というのが流れのひとつらしい。

A教諭の証言と生存児童の証言で食い違いがあるのに、証言で教育委員会にとって都合が悪い部分を削除したのでは?という疑念も本には書かれてます。

 

「3月(の第4回説明会)以来、私たちと一度も話し合いを持たれないまま、突然、2000万円の予算を付けて丸投げするような第三者検証委員会の話が出たんです」

 

・2012年6月17日、遺族質問書に対する教育委員会回答

〈「引き渡し中に津波」については、初期情報として記録しておりましたが、校長が河北総合支所などでは仄聞した情報であり、津波被災の場に居合わせた人の話かどうかは不明で、津波被災時の様子を正確に伝える情報であるとは判断できません〉

うーん………というか、遺族が聞いたらキレるでしょう?っていう回答。

 

 

・「山に逃げよう」と言っていた児童の証言メモを破棄?

保護者たちが問題にしているののは、2011年6月4日の説明会で、加藤元指導主事が「"山さ逃げよう”とかいう男子がいたが、そのまま引き渡しを続けた」と経過説明している点にある。

こう報告された男子の証言は、情報開示された2011年5月の「聞き取り調査記録」の中には出てこない。また、2012年3月18日の説明会でも、千葉元指導主事が「教育委員会では、押さえていません」と否定している。

 このあと保護者に対する説明会の中で「聞き取り調査のメモ」を破棄したかのような会話記録が残っていて、もうなんというか言葉も出てきませんが……。106~111ページにこのやりとり、130~140ページにメモ廃棄についての考察が載ってるけどもすっごい不毛……。そりゃあ裁判で真実を引っ張り出したくなるよね。。

 

 

他にも文科省の対応のまずさ、生存児童の証言、遺族達の思いなどが丁寧に取材されてる、読んだ後で考え込んでしまうような本だけども、この大川小の事を考えるなら読んでおきたい一冊。

 

本を読むとわかるのは遺族が求めているのは「市教委のしっかりとした説明」であって「A教諭の矛盾しているかのような供述などをきちんとしてほしい」、という事。

「大量の賠償金が欲しい」よりも「説明してほしい」というのが先に来ていると思うよやっぱり。一体誰が23億円なんて額で訴えようと思ったかわからないけども、この膨大な額のせいで本質が見えなくもなりそう。本を読むと市側の態度はおかしいもの。

「想定不可能なので避難できなかった」という事よりも「避難できなかった経緯についてきちんと説明する気がない」ように見てとれる。この「きちんと説明しない」って点は遺族だったら絶対に納得出来ない人もいるだろうし、それを明かす手段が裁判しかないとするなら………ねぇ。ただ、裁判の記事読むと責任問題に終始していて結局最後の最後まで説明はされないまま終わってしまうんじゃないかと思う。

 

「なぜ避難できなかったのか」を生存者達の証言を元にきちんと説明し、それで再発防止をする。というのが普通の事だと思うのに、なんでそうならないんですかね……。