【現代のミステリー】「炉心溶融という言葉を使うな」と官邸は本当に言ったのか？
「炉心溶融ということば使うな」 当時の社長が指示 | NHKニュース
きっと芥川の『藪の中』みたいな経過をたどるんでしょうね…な話題ですがあまりに東電の言うことだけ鵜呑みにして民主党（民進党）叩きをしている人が多い気がするので……。
確かに当時の官邸がそういう指示をしたのかもしれないし、それは菅直人の指示であったり枝野の指示であったのかもしれない。それは全くありえない話ではないと思う。
でも現時点では「菅や枝野がそういう指示をした、というはっきりとした証拠はまるでない」わけで今の時点で憶測だけで民主党や菅を叩く人達（あるいはこれは民進党叩きに持って行きたい自民党と東電の陰謀だ！と言い出す人達）は普段自分たちが「根拠のないデマを流している」と叩いてる反原発派その他の人達と同じことをしている。って自覚をすべき。
「はっきりとした事実」を前提として相手を叩くのと「きっとそうだろうという憶測」で相手を叩くのには明確な違いがあるよ。
将来誰かにその矛盾を突かれないためにもこの２つの叩き方は絶対に分けておくべき。後者はそもそも「ろくに事実認識をしてない」わけだから本来そんなのをまともに相手する意味ないんですけどね……。ないよね？
まずは報道で分かっている事実だけを整理します。
・平成23年3月14日の東電の会見で確かに武藤副社長が「官邸からこの言葉は絶対に使うな」と耳打ちされている（一番上のNHK動画1:10あたり参照）
・同じく平成23年3月14日に枝野長官は「炉心熔融の可能性は高い」とコメントしています
（asahi.com（朝日新聞社）：「１〜３号機すべてで炉心溶融の可能性高い」枝野長官 - 東日本大震災）
・「官邸からこの言葉は絶対に使うな」と広報を通じて副社長に指示したのは官邸が直接広報を通じて言った言葉ではなく、清水社長からの言葉
（東京新聞:「炉心溶融使うな」 東電社長の指示、４年間公表せず:社会(TOKYO Web)）
・第三者委員会が「炉心溶融という言葉を使うな」という指示を東電が官邸からされた。という発表をした（一番上に貼ったNHKニュースより）
・当時官房長官室にまで行った清水社長は「記憶が曖昧」として第三者委員会のヒアリング調査においては具体的なやり取りは一切確認できていない
（炉心溶融、元東電社長指示で公表遅れ…第三者委 : 科学・ＩＴ : 読売新聞（YOMIURI ONLINE））
・一体官邸のの誰がどのような状況でこのような言葉を使ったのかは第三者委員会は把握出来なかった
・第三者委員会は東電関係者のみにヒアリングをして「官邸の関係者には一切ヒアリングをしていない」
・この第三者委員会は「東京電力の依頼」によって作られた委員会
・菅、枝野とともにこの発言を否定しています
（菅元首相「指示していない」 炉心溶融巡る圧力否定 ：日本経済新聞、東電報告書：「指示の事実ない」枝野氏反論…炉心溶融巡り - 毎日新聞）
この事実を並べていった結果、憶測出来るであろう事をまとめてみます。
・菅直人、あるいは枝野が「炉心溶融という言葉を使うな」と東電に圧力をかけて事実を隠蔽した。民主党だからそれくらいしてもおかしくはない。やっぱり民主党（民進党）は最低だ！
・官邸の誰かが圧力をかけたのは確かだが、それは菅直人や枝野ではなく末端の関係者であり、東電の第三者委員会がその発言を誇張して発表している。枝野は確かに「炉心溶融」って言葉を使ってたじゃん。それなのに東電にこういう指示をするなんて矛盾してる。
・官邸からの圧力なんて実際には一切かかっておらず、責任を官邸になすりつけたいがために東電がこのような発表をした。聞き取り調査における清水社長の回答やそれにまつわる報道、を辿っていくとこういう結論になってもしょうがない。だって東電だよ？
・全ては民進党の票を減らしたい自民党の陰謀だ！このタイミングでこんな話が出てくるのがおかしい。自民党は最低だ！
確かにどれもありそうに見える（と思う人は少なからずいるはず）事であり、事実そうなのかもしれない。でもそれは憶測でしかないわけでそこをまるで本当に起こった事のように言い出すのは…。
自分はこの中でどう思うか、は確かにあるけどもはっきりとした事は分からないのでやっぱりあまり強くは言い出せないよこのニュース。
むしろ官邸側をろくに調査してないし、「意図的な隠蔽はなかった」とふざけたコメントを言い出す第三者委員会（東電が選んでいるからそりゃそうです）や、なぜ当時にこれをマスコミは追求しなかったのか。あるいは過去の話ではなく今の原発が一体どうなっているのか？を追求すべきなんじゃないのかな……。
「炉心溶融という言葉を使うな」という言葉を実際に本当は誰が言ったのか、が判明しようとも原発が安全になるわけでも爆発するわけでもないんだし。なんか大事な事を忘れていろんな話が飛び交っている気がしてならない。こんな憶測だけの記事で誰かを叩いて一体何になるのでしょう…。実際のところは本当はどうでもよくてみんな気に入らないものの叩き材料に使っているだけでしょう？ それに一体意味があるのかというと…ねぇ。
といいつつ自分もこれでブロク記事を書く業の深さ…。
最後に東電が5月にABCニュースに公表した「福島原発に残された所在不明の融解核燃料は600トンと推定されます」という記事を貼っておしまいにします。こんな重箱の隅をつつく報道ばかりして、これを報道しない日本のマスコミって一体何なのでしょうね……。福島 600トンでニュース検索してみると日本のマスコミの質が分かりますよ。
In an exclusive interview with Foreign Correspondent, the Tokyo Electric Power Company's chief of decommissioning at Fukushima, Naohiro Masuda, said the company hoped to pinpoint the position of the fuel and begin removing it from 2021.
But he admitted the technology needed to remove the fuel has to be invented.
"Once we can find out the condition of the melted fuel and identify its location, I believe we can develop the necessary tools to retrieve it," Mr Masuda said.
"So it's important to find it as soon as possible."
For the first time, TEPCO has revealed just how much of the mostly uranium fuel melted down after the tsunami swamped the plant.
"It's estimated that approximately 200 tonnes of debris lies within each unit," said TEPCO's Naohiro Masuda.
"So in total, about 600 tonnes of melted debris fuel and a mixture of concrete and other metals are likely to be there."
