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読書感想

ジョン・ヴァーリイの『逆行の夏』

 

逆行の夏 ジョン・ヴァーリイ傑作集 (ハヤカワ文庫SF)

逆行の夏 ジョン・ヴァーリイ傑作集 (ハヤカワ文庫SF)

  • 作者: ジョン・ヴァーリイ,シライシユウコ,浅倉久志,宮脇孝雄,大野万紀,内田昌之,中原尚哉
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/07/23
  • メディア: 新書
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早川のやってる昔出てたやつの収録作品をごっちゃにして新しい本として出版する。っていう商法。ディックなんか一体何冊同じ作品が入ってる新刊を出すつもりなのだろう…と思ってしまうけど、まぁそうしないと売れないから(単に昔の本を増刷するよりも新刊として出した方が新刊棚に並ぶからそうしてるって誰かが言ってた)ってのを考えると。

ねぇ…。このジョン・ヴァーリイ短編集もいくつか既読作品があるけど「ブルー・シャンペン」や「残像」などの短編の代表作っぽいのがまとめて入っているのでお得といえばお得。「ブルー・シャンペン」はフリークスをテーマにしたSFの傑作ですよ

 

各作品の感想

「逆行の夏」

クローンの姉、性別転換した……(ネタバレ)達。など。どことなく出てる近親相姦感。

 

「さよならロビンソン・クルーソー」

子供の姿に戻っている老人の話。身体も記憶も子供時代に戻った老人/子供主人公が女性と出会って…からシンプルなボーイ・ミーツ・ガールとして落とさないところは面白い。でも、オチは唐突すぎる気が…

 

「バービーはなぜ殺される」

個性を否定した宗教が出てきて、その宗教では姿形も同じ人間たちしかいない。そしてその宗教コミュニティの中で起こった殺人事件…。SFだから出来る設定の話ってのはそれだけでわくわくするよね。オチも好き。

 

「残像」

大不況の中で発生した視覚、聴覚障がい者達の楽園。そこに辿り着いた主人公。

すごくいいコミュニティに見えるけども、最後まで読むと結局みんな出て行った事が判明する。結局何が主人公にとって、障がい者達にとって素晴らしい場所だったのか?とかいろいろ考えさせられる作品で良いよ。ここは結局逃げ場だったのか、出て行く方が”逃げ”だったのか。

 

 

「ブルー・シャンペン」

語弊があるだろうけどもフリークスSFの傑作、として推していきたい作品。

豪華絢爛に飾られた世界に1つしか人工骨格(黄金のジプシー)を身につけて動けるようになった四肢麻痺の女性メガンと主人公の馴れ初め話。

なんか昔どこかで読んだはず。久しぶりに読むとやっぱり面白い。フリークスのアイドル、という設定は倒錯的で最初読んだ時はそこがすごい面白かった、再読してもそう。

メガンの行動は昔読んだ時は”ひどい女性”と思ったけども、再読すると”こうするしかなかったんじゃ”って受け入れられる。気がする。

 

「PRESS ENTER■」

これは、戦争のトラウマから逃げられない人たちを描いたような作品でなんか求めてたものと違ったのであんまり…だった。でも、巨大組織の陰謀or主人公の妄想として片付けられるように構成されてるのは流石。