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読書感想

シリアルキラー本って魅力がありますよね。シリアルキラー本の何が人を惹きつけるのか『連続殺人犯の心理分析』に書かれてたこの文章以上の文章はないと思うので、とりあえず引用

 

「連続殺人犯」の心理分析

「連続殺人犯」の心理分析

  • 作者: ジェイソンモス,ジェフリーコトラー,Jason Moss,Jeffrey Kottler,小田晋,酒井和夫
  • 出版社/メーカー: 講談社
  • 発売日: 2002/03
  • メディア: 単行本
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僕がこの殺人犯たちにたどり着いた理由の一つは、彼らを賞賛しているからだった。もちろん、賞賛するのは、彼らの犯した罪ではなく、彼らの度胸と完全実行だ。いまさら、述べるまでもないが、彼らの非人間的な行動は言語道断だ。彼らは、市井の人々を治める規則をあえて軽蔑するだけなく、規則を管理しようと躍起になっている人たちを嘲るかのように殺人を繰り返したのだ。
僕の人生のうちには、正しく生きていてほしいという周囲の期待と僕独自のやり方で目立ちたいという衝動との狭間で揺れ動いていた時代があった。その頃の僕は、この殺人者たちの行為に、いとも簡単にある種の畏敬の念を抱いていたからだった。
僕は、犯罪者とそれを逮捕するものとの間には、密接な繋がりがあることを知っていた。警察官が、インタビューに答えて、別のチャンスが巡ってきたら立場は簡単に逆になっていただろう、と秘密を暴露するのを聞いたことがある。もちろん、連続殺人犯たちは絶えず警察に接近する方法を見つけ出していて、自分自身が警察官のふりをしたりするのだ。
僕は、犯罪者と法の執行官の間には、どうも何か共通するものだある。両者とも、崖っぷちで生きるのが好きなような気がする。だから、もし僕がこの殺人者たちを裁判にかける立場の人物になるつもりなら、僕自身の心の暗黒面をよく理解していなければならないだろう。

 

というわけで『殺人犯との対話』の感想。

 

殺人犯との対話

殺人犯との対話

 

 日本における連続殺人犯にわざわざインタビューしてみたり、親族知り合いから犯人像を浮かび上がらせようとしたりしているような本。悪趣味といえば悪趣味な本の作り方だけども、松永太インタビューとか書いてる本なら読みたい人はいるでしょう?という期待には充分答えてくれる本。

作者は尼崎の事件を丹念にルポした『家族喰い 尼崎連続変死事件の真相』と同じ人だよ

とりあえず1項目ずつ説明

 

北村孝紘・大牟田4人殺害事件 - Wikipedia(死刑)

 

みんな忘れてそうな事件だけども、金銭目的で4人を殺して家族まるごと死刑判決が下った九州の事件、みたいなキーワードでおぼろげに思い出す人もいると思う。そのうちの長男にインタビューした章。この人はやっている事はかなり酷い一方ですごく人間くさい部分も(少しは)ある人で、死刑囚と普通の人の境目もよく分からなくなってくる。

 

松永太・北九州監禁殺人事件 - Wikipedia(死刑)

獄中への松永太インタビューが載っている、と聞いて興味をそそられる人はそそられるはず。とはいえ、こいつが語っている事が終始自己弁護&無罪主張なので監禁事件に関する闇を本人から聞くという事は出来ていない。シリアルキラーの狂いっぷりがこの会話からでも充分に感じ取れるような章。

あと、『消された一家』を読んだ人ならそれ以上の事はあまり書いてない気がするのでこっちを先に読んでる人はそこまで期待するところでもないよ。

 

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

消された一家―北九州・連続監禁殺人事件 (新潮文庫)

 

 

畠山鈴香・秋田児童連続殺害事件 - Wikipedia(無期懲役)

これは獄中インタビューがない。ただし、作者がマスコミ関係の人なので逮捕前に畠山鈴香に迫っていたあの時のレポートが少しある。マスコミ側の視点、であの時を綴っているところは面白い。関係者に聞いていって畠山鈴香の逮捕前の人生を晒しているようで章でプライバシーとかいいのかな…と思う一方でこういう本を好んで読むような自分も結局は同じ穴の狢だと思う。

 

鈴木泰徳・福岡3女性連続強盗殺人事件 - Wikipedia(死刑)

これも獄中インタビューがない(拒否られたという記述がある)。全く反省がないような感じが見えてくるのでこれまた後味が悪い。

 

宇野ひとみ・大阪養子縁組連続殺人事件 - Wikipedia(係争中)

実行犯である別の人のインタビューは載っているものの、こちらの首謀者へのインタビューはなし。保険金殺人、というのはあまり興味がもてないのでそこまでの印象がない。。。

 

下村早苗・大阪2児餓死事件 - Wikipedia(懲役30年)

これはネットでさんざん話題にされてたので覚えている人は多いはず。この章では”下村早苗は解離性障害だったのでは?”という仮説から餓死事件の説明をしようとしている。もちろん推測でしかないものの、確かにどこかおかしい気もする事件だしね…

獄中インタビューはないものの、父親へのインタビューがあり、これでも娘は娘なんだろうなぁ。ってのが伝わってくる。

 

山地悠紀夫・大阪姉妹殺害事件 - Wikipedia(死刑執行)

既に死刑が執行された人間の足跡を辿る。この事件以前に母親を殺していて(

山口母親殺害事件 - Wikipedia)、その時の興奮が忘れられなくて再び事を起こした。とかいう生粋の異常者。そんな人間を少年院で救おうとして、救えなかった弁護士の言葉は痛々しい。

 

魏巍・福岡一家4人殺害事件 - Wikipedia(死刑)

この章で痛々しいところは事件内容よりもインタビューしている作者が”既に腹をくくっている被告に控訴を促す”ところ。インタビューを続けたいがために(どう理由を書こうともそう思えてしょうがない)ここまでしてしまう作者は相当暗黒面に堕ちているのでは……。まぁ真っ当な神経なら何人もの犯罪者へのインタビューを続けられないしね…。

 

高橋裕子・福岡スナックママ連続保険金殺人事件 - Wikipedia(無期懲役)

これも保険金殺人の章なのであまり…

 

角田美代子・尼崎事件 - Wikipedia(拘置所内で死亡)

これはこの章だけ語り尽くせるものでもないし家族喰いとかぶっているところもあるのでそっちの方がいい。ただ肝心の主犯格が死んでしまったので一生真相に迫る事は出来ないだろうし、ちょっと触れるだけで北九州のやつと同じようなレベルで陰惨な気分になれるのでまぁ心に余裕がある時に……。

家族喰い――尼崎連続変死事件の真相

家族喰い――尼崎連続変死事件の真相