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読書感想

たまには普通の読書の感想を…と思ってもなかなか書けないわけで。

読書メーターでやればいいじゃない…と言われそうですがドワンゴがあそこを買収したと聞いて使う気がなくなってしまった程度にはニコニコ関連が嫌いなのでブログで適当に。

 

『ジーン・ウルフの記念日の本』

ジーン・ウルフの記念日の本 (未来の文学)

ジーン・ウルフの記念日の本 (未来の文学)

 

 

 

ジーン・ウルフの本は最近国書でぽんぽんと出されているよね。他に予告してた本もこのペースで出してくれればいいのにね……。

この短編集はそこまで気張って読む必要もない軽い短編が多くて、”何か深い事書いてそうだけどもよく考えると大した内容がない話、でも解説を読むと色々とネタが詰まっている事が分かってやっぱり考察したくなるような話”の面白さが味わえる短編集だよ。

 

一応”アメリカの記念日”をテーマにした短編集だけども、こじつけっぽいのも多々ある

。解説でわからない部分を簡単に説明しているのできちんと読もう。

以下各短編の感想。

あんまり適当な事を書くとこわーいこわーいSFファンからそんな読み方をする作品じゃないだろう、と怒られそうなイメージがあるよねSFって。

 

 

「鞭はいかにして復活したか」

奴隷制度の復活の話、メインの話よりも喋る家具やら廃れた既存の宗教、という設定の方が面白く感じてしまう。

 

「銃電気と薔薇」

AIが自動的に結婚相手をマッチングしてくれるようになった社会、って今読むと当たり前の事をなんやかんや言い争う話。時代を感じる。

 

「ポールの樹上の家」

木の上から一向に降りてこない息子とそれを説得しようとする父親、短編全体の雰囲気が荒廃した社会のイメージで、この雰囲気がまた樹上にいる子供のイメージを色々と掻き立ててくれる。

 

「聖ブランドン」

なんか読んだ気がする…と思ったら『ピース』からの抜粋だった

 

「ビューティーランド」

タイトルとは裏腹に最後まで皮肉たっぷりの短編。

 

「カー・シニシスター」

自動車が孕み新しい自動車を産もうとして…という馬鹿馬鹿しい話。

これを聞いた主人公が真っ先に去勢手術の話をしたりするところ、真面目に書かれている(ように見える)出産描写、主人公が新しい車が気に入らないような描写。と何もかも馬鹿馬鹿しい中にちょっとだけ見えてくるような差別的な描写。そういう比喩めいたい話なのかもしれないけども、やっぱりただの馬鹿馬鹿しい短編なのかもしれない。

 

「ブルー・マウス」

戦う兵士と戦わない兵士が分けられた戦争、反戦小説っぽい

 

「私はいかにして第二次世界大戦に破れ、それがドイツの侵攻を防ぐのに役立ったか」

チャーチルとヒトラーが行う英国車対ドイツ車の自動車レースを描いた歴史改変もの。

日本車も出てきて色々なものを揶揄しているようで面白い。

 

「養父」

”父親が欲しい子供”のところへ養父として行こうとした男の話。というあらすじだけども中にあるのはいろんな記録を改変するような世界の話なのでディックっぽい。でもディックの方がこういうのは面白いよね…。

 

「フォーレセン」

不条理労働者小説。ブラック企業っぽいのを揶揄する部分もあって面白いよ。

解説を読まないとネタが通じないところがあるのは翻訳小説だしまぁ仕方がない…。

 

「狩猟に関する記事」

あまりにシンプルすぎて………?と最初はなるような話だけども、そもそもこれは”悪文で記事を書く人”そのものをネタにした作品だと分かれば面白い。。。いや、別にそれが分かってもそこまで面白くはないかな…。

 

「取り替え子」

これもシンプルな話。タイトル通りのネタが入っているホラーテイストの作品。

 

「住処多し」

いろいろな部分を、わざとぼかして描いているような気がしたけどもどうなのかな。あまり深く考えずに”怖い民話的なもの”、と考えればいいのかも。

 

「ラファイエット飛行中隊(エスカドリーユ)よ、きょうは休戦だ」

空で気球に乗った女性と出逢うノスタルジックな作品。

 

「三百平方マイル」

どの短編もだけども、ウルフは最後の締めがすごく上手いよね…。余韻を残すというかなんというか

 

「ツリー会議」

子供がクリスマスプレゼントを貰って楽しく遊ぶだけ、と思ったら……。

ちょっとしたホラー作品。

 

「ラ・ベファーナ」

異星と宗教をテーマにした作品だけどもなんかよく分からない…。そこまで傑作なのかなこれ?

 

「溶ける」

最後を飾るにふさわしい饗宴が描かれた小説。短編種の最後だから出来るこのオチまで含めてすごいジーン・ウルフらしい。