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読書感想

ついったーで一言感想書いて済まそうと思ったけども長くなりそうだったのでブログで。

 

 バリントン・J・ベイリーの『ロボットの魂』

ロボットの魂 (創元SF文庫)

ロボットの魂 (創元SF文庫)

 

 

老夫妻の手によって作られたロボットのジャスペロダスが”意識”を求めて世界中を放浪していく話。

 

人間社会の中でいろんな役割をこなしていくジャスペロダス。それはロボット従者のふりであったり、人間社会の王であったり、皇帝の右腕であったりでどのエピソードの中にもどのエピソードも面白い。

ただ、ベイリーの小説の面白さは”ロボットの意識は存在できるのか?”というような作品のメインとなる真面目なテーマではなくて、作中に無数に存在するガジェット、エピソードの部分部分にあるんだよね(よね?)。一つのエピソードだけで長編一本になりそうなところを数十ページくらいで済ましてしまうので突っ込むところが追いつかない、そして最初に印象に残るところはふざけた部分のところしか残らない。

確かに真面目なテーマを描いているベイリーだって面白いものの幸か不幸かバカSFっぽいところを描くベイリーの方がもっと面白いので途中まで真面目に読んでいるものの結局読んだあとは”これはバカSFだ”となってしまう。だってふざけた方が面白いじゃない。

 

たとえば自分は意識を持てない、と理解してしまったジャスペロダスが急に人類の支配をたくらみ権力を奪取するところとか論理的に思考しているようで何の脈略もなくてこれがバカSFでなくてなんなのだろう、と思ってしまう。↓

ぼくは炎をくぐり抜け、絶望と自己不審を克服した。そのぼくが、人間として、ホルス・グレブ以下だというか?ゾーム王以下だというのか?パデュアとくらべてさえ、どこが劣っているというんだ?彼らより能力がないというのか?そんなことは断じてあるものか!自分の価値を自分で証明してやる。彼らを支配する力を獲得することで、それを証明してやる……彼ら全員が、ロボット、ジャスペロダスの前にひざまずくのだ。

 

他にもロボット専門の居酒屋でジャスペロダスがトリップするところとか、ふざけているのか真面目に描いているのか分からないところの面白さがベイリー作品の面白さであって”ロボットの意識について”というテーマなんかどっかに吹っ飛んでしまう。……これ何がテーマのSFなんだっけ?とか思ってはいけない。最後はこうやって進めてきたのならこれしかないのかなぁ、って思う感じ(ベイリーの小説の最後なんてどうだっていいよね)。

 

そして、この”バカSFだ!”って読んだ後に真っ先に感じる読後感は『禅銃』や『カエアンの聖衣』でも同じだったので、続けて一気にベイリー作品を読もうとは思わないんだよね…大分たってから真面目な部分のベイリーについて考えを巡らしたりしてくる。それまではふざけた部分の面白さだけを堪能しておこう。