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東方同人誌感想とか書いてみよう 231冊目

相乗り回転ブランコさんの『ラブリィ≒イコール』

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秘封倶楽部になれなかった人達、秘封倶楽部ではない人達の話。でも秘封倶楽部の話。蓮子とメリーの話。そんな小説の短篇集。以下ネタバレっぽいし反転。

 

「黄金期の終わりに」

蓮メリをきちんとしていると思いつつも段々と”自分にだけメリーの声が聞こえる少女が秘封倶楽部の活動をトレースして、自分は蓮子として生きようとする話”だという事がわかってくる。それでも秘封倶楽部になる事は出来ないし、蓮子にあった能力までコピーする事は出来ない。それを受け入れた先にある希望みたいな話。

 

「苦海に叛いて飛ぶ」

マリオン、という性別不明の子に囚われた研究者の話。ちょっとSFめいている。境界を超えた?マリオンと超えられなかった研究者。ここでもやっぱり登場人物は秘封倶楽部になる事が出来ない

 

「贋秘封倶楽部の冒険」

過去に存在したとされるものの誰も詳しくは知らない秘封倶楽部とかいう存在。とりあえず「秘封倶楽部」というサークルがあったのでそこにマリーという女の子が行くものの名前だけ借りたまがい物だと分かり幻滅する。そんな中でマリーは京都一秘封倶楽部の事を知っている蓮見と出会い二人だけで「秘封倶楽部」の活動を追跡しようとする…。

きちんと秘封倶楽部っぽい冒険をしていて、一番すんなり読み込める作品の気がする。そして一番秘封倶楽部に近づけた二人の気が。。。

 

「二人のアリウスイビ」

たぶん自分以外の人間はいなくなったと思いつつもなんとなく定期通信を眺める月にいる不老不死の少女、そこに秘封倶楽部の情報を集めているというコンピュータのリベリエが割り込んできて…

 

人間とコンピュータのやりとりを描いた作品っていいよね。東方二次創作でこれをやる度胸はすごいとか思ったり。リベリエの描き方が可愛い。

ここで”本来の秘封倶楽部がどうなったか”が初めて明かされる。本来は独立してた短編をつなぎ合わせたものらしいけどもこれでしっかりと繋がっているように見えてくる。

 

「Lovely call」

目次にはこの話が収録されているとは書いていない。だから最後にこの作品があると急に知った時の驚きと内容に驚くような構成になっていたり。

二人が会話して誰かに呼ばれている。それだけの話なものの最後まで”二人”も”呼んでいる人”も誰かが明示されていない。”二人”は蓮子とメリーと読んでもいいしその他の秘封倶楽部になれなかった人達と読んでもいい。”呼んでいる人”だって蓮子とメリーでもあるし秘封倶楽部になれなかった人達として読めるはず(読者って解釈もありかも)。

個人的には”二人”が秘封倶楽部になれなかった人達で”呼んでいる人”が境界の外にいる蓮子とメリーみたいな解釈をしちゃう。

 

最後まで読んでからカバー裏を見て、カバーを見返すと色々と思うところが出てくる本。偽秘封倶楽部と本物の秘封倶楽部の違いなんてないんじゃないか、蓮子とメリー以外にそうなれる二人組は本当に存在出来ないのか、作中ではっきりと書かれているわけではない事を二回くらい読んでから考えるとたのしいよ。

 

この本は作者さんがそのままTwitterでの感想をまとめているので各々の解釈の確認にでも。

例大祭12新刊「ラブリィ≒イコール」の感想まとめ(ネタバレあり) - Togetterまとめ