Kindle Unlimitedで読める本、漫画の感想44冊目 『しにたいおんなのこ』
しにたくてしょうがないけどしねないおんなのこの漫画。ほんのり百合っぽい
なにがあってもしねないさいきょうな女の子の話。このさいきょうな女の子というシチュエーションのおかげでしにたい話なのにどこかコミカルに感じられるのが面白い。どんなことがあってもこの子は生き延びるんだなぁという安心感。最後の最後にはきちんといいことがあります。
セリフは一切ないのでしにたい理由も一切語られないので想像に任せられるのが良いよ。
— しにたいおんなのこ (@kawaiishinitai) 2020年5月17日
この漫画はTwitter発の漫画でTwitterで全編読めるのですがKindleならまとめて読めるしUnlimitedならそのまま読めるし、そもそもUnlimitedで読むと作者さんに1ページごとにたしかお金が入るのでTwitterで読んで面白いと思った人はとりあえずダウンロードしてみたらどうでしょう(ステマ)
東方同人誌感想とか書いてみよう 1370冊目
popricationさんの『うそつきのけもの』
けねもこ出会い話。この作者さんにしては珍しくれいまりもの以外の本
慧音が妹紅と一緒にいたいと思う理由、妹紅が慧音と一緒にいたいと思う理由もどちらもわかるよねこれ……ってなる本です。最後のページでいちゃいちゃするわけでもなく、ただハグするだけってのが実にけねもこらしくていいです。妹紅にとって一瞬かもしれない時間だったとしても、その時間だけは慧音といる事を選ぶ。みたいなけねもこって好き
この妹紅が慧音に向ける感情は輝夜に向ける感情とは明らかに違うはずだけども、一時的な現実逃避じゃなくない感情ならいいよね。でも実際は……とつい考えてしまうけどこの時が幸せならきっといいはず。。。
読書感想 李琴峰(りことみ) 『星月夜』は異郷に生きる女性を描いた百合小説ですよ
この作者さんの本を初めて読んだ感想です。
ネタバレありなので注意。作品を読んでから感想を読むのを推奨。いちおうあらすじだけ最初に置いときます。
あらゆる縛りから逃れたいと願う二人の女性は、異国の地・日本で出会った――。
両親の反対を押し切り、日本の大学で日本語を教える台湾人の柳凝月(りゅうぎょうげつ)は、新疆ウイグル自治区出身で、日本の大学院を目指す生徒の玉麗吐孜(ユーリートゥーズー)に初めて会った時から魅了されていた。玉麗吐孜もまた、柳凝月に惹かれていた。ある日、玉麗吐孜の元恋人の同居人が部屋を出て行くと言い出し、家賃問題に悩んでいた彼女は付き合い始めの柳との同居を考えたが、今の距離感が心地よく、これ以上親密になるのを恐れていた。一方、柳は玉麗吐孜の受験が上手くいったら一緒に暮らし、いつか結婚しようという想いが募っていた。期待もあえなく、玉麗吐孜は不合格通知を受け、日本に残る理由を失っていた。生国の政治情勢、家族のこと、隠している自分のセクシュアリティー……。共通の言語を持ち、語り合い、玉麗吐孜のことを分かっていると思っていた柳だが、玉麗吐孜が背負う重りを知らずにいた自分に気付く……。
台湾人の日本語教師柳凝月(りゅうぎょうげつ)と 日本の大学院を目指す生徒のウイグル人の玉麗吐孜(ユーリートゥーズー)という2人の女性の話。
なんだろう日本を舞台にした話で日本語を話してコミュニケーションしているのが多いのに、異郷に生きる人を描いた話に感じる。登場している女性たちの日本での生きづらさ、というよりもいろいろなものに縛れられて自由に身動きできない感じがそのまま伝わってくるような感じ。
在留カードのエピソードとか日本に住んでいる日本人と外国人では読む感覚が違ってくるのかもしれない。
そして、幾多の苦難を乗り越えて2人が結ばれてハッピーエンド!とはならない。それならどれほど良かっただろうにと2人も思っているけども、玉麗吐孜(ユーリートゥーズー)のたぶんウイグルに戻る事を選ぶ、家族の元に戻る事を選んでしまうと匂わせる終わり方はその選択の重みをどうしても感じてしまう。
好き同士で2人になることよりもたぶん大事であろうものを見せられる上に、その解決方法もわからない。そして今の日本でも充分ありそうな選択なのがなかなかにシビア。
あと、この2人に感じた日本人のバイト女性が感じた嫉妬というのは言語の壁、というかどうしても異国の人同士でやっていくなら向き合わないといけない壁なのかなぁと思ってしまう。こちらは本筋ではないけどもこの嫉妬と同じような経験がないのに、日本語を母語とするせいかなんとなくわかってしまう。
全体的に誰も救われないし、楽しいおすすめ!とはならないんですが、それでも彼女たちの生きる様を見続けたくなるし、誰かに読んでほしくなるような百合小説。
日本が舞台だとしても、その日本を異郷として生きる人たちがいるというあまり普段着にしない事を考えされてくれる。
こういうのってレズビアン文学とかそういう堅苦しい言葉でなく百合小説みたいに言った方が手にとって貰えそうな気もしますがどうなんでしょうね。それ以外の要素も充分に含まれてるので百合小説ってなんか語弊もありそうですが。。他の作品も気になる。
読書感想 村上春樹『一人称単数』
自分は春樹の熱心な読者ではないし、なんか手に取れるときがあったら読もうという程度のレベルなんですがひさしぶりに新刊を手にとったので感想を。
「石のまくらに」や「ウィズ・ザ・ビートルズ With the Beatles」や「謝肉祭(Carnaval)」などに出てくる男女の出会いの話、というかディスコミュニケーションの話みたいなのが好きで、
そこに出てくる女性の行動の内側まで決して描かれないし、主人公も敢えて深く想像したりはしない。答えを考えなくて良いような短編っていいよね。
特に何も解釈とかせずに「それはそういうもの」だと楽しめるので春樹の短編はすき。
この「特になんも解釈なんてせずに楽しむものだ」という自分の読み方のは春樹の長編読むとなんかくどく感じてあまり好きじゃないんですがまぁそれはまた別の話。
そして面白いのが「『ヤクルトスワローズ詩集』」
昔本人が自費出版で出した『ヤクルトスワローズ詩集』などに触れた作品。
自伝的で面白いし、とにかく気になるのが”『ヤクルトスワローズ詩集』って持ってる熱心なファンいるの?自分は聞いたことないよ?”
って思って調べてみた。
HPで描かれてる文にも『ヤクルトスワローズ詩集』について書いてあるんですが
https://www.yakult-swallows.co.jp/pages/fanclub/honorary_member/murakami
どうも『ヤクルトスワローズ詩集』というのは存在せずたまに出してくるお遊びみたいなものらしい。それっぽく描かれてるからまんまと騙された。本人は騙される人を見て笑ってそう
https://withnews.jp/article/f0170526000qq000000000000000W03610101qq000015239A
ファンならこれがキルゴア・トラウトみたいな遊びってわかるのでしょうが、つい調べてしまった自分みたいな人にとってはこの架空の書物の設定が面白かった。
なかなか架空の自作をでっち上げる人はいないのでは。
あと「品川猿の告白」の猿の設定面白かったですが、調べてみるとこれ続編?みたいなもんなんですね。そっちの方は読んでないから知らなかった。猿には猿の愛の形があるし、能力の設定も不思議なのがいい。